京大式ロジカルシンキング_逢沢明
目次
【情報の整理】
<MECE>
<So What?/ Why So?>
【論理的な問題解決】
<メリーゴーランド法>
<大観覧車法>
<ジェットコースター法>
【全体を通して】
【情報の整理・構造化のコツとして意識すべき2点】
‘ヨコ’と’タテ’という表現がされている理由は、視点の次元が違うからだろう。「ヨコ」に幅広く見やすく並べた内容について、「タテ」から見下ろして奥行きを出す。
<ヨコの整理MECE>
☆ある集合に含まれる物事を重複なく、列挙する。
ただし、原則に拘り過ぎると「年齢、性別、職業、地域」といった面白味に欠ける区分しかすることが出来なくなってしまいがちなのが難点である。
応用例:ピンチに陥った時に落ち着いて現状の課題を洗い出す。
<タテの整理So What? / Why So? >
☆列挙した物事から仮説を導き、その仮説で現象を説明し得るか検証する。
So What? とは、「それ(=列挙した内容)から何が言えるか?」
Why So? とは、「その仮説を検証すると?」
応用例:So What? / Why So? の相互作用を意識する。つまり、Why So? によって他の仮説(So What? )を立てられるような根拠を洗い出す。
(メモ)
- 京都でコンビニコーヒーの売り上げを伸ばす手段として、学生へのアプローチを増強する。学生はあまり買わない→理由の一つに、持ち運びの困難さ→→(他の可能性は?理由は運搬だけなのか?)→→
【論理的に問題解決するための3ステップ】
1アイディアを出し→メリーゴーランド法
2議論し→大観覧車法
3(必要であれば)オフェンスして推し進める→ジェットコースター法
<メリーゴーランド法(ロジックエージェント法)>
☆アイディアを出す場面や意思決定する場面で使用する。
具体的な流れとしては
1)少ない枚数のカードを動かす
2)配置を見ながら言葉を洗い出す
3)場合が出尽くしたら、プラス思考の状態をつくる(配置の辻褄を合わせる)
利点は、言葉と言葉の隙間を補う能力に長けている人間のイメージ力を活用できること。動的にシミュレーションできること。
偶然の閃きを意図的に起こそうとしていることがポイントである。
☆議論する際に気を付ける点(対処の仕方、突っ込みのポイント)をまとめておく。これによって場面ごとに適した対応をスムーズにとることができる。
具体的な内容としては
1)道理が通じない→落ち着いて言い聞かせる。
2)強弁を曲げない→第三者に問いかけて自分の勝利をアピールする。
3)「ある」と「すべて」を混同する→反証を挙げる。
4)言いにくい立場(ご近所、上司等)→表現を裏返して相手の利益を強調する。行わなかった場合の不利益に言及する。
5)言葉の印象を変えたい→日本語では最後の結論に意識が向けられるため、重要なことや強調したいことは文末に。
6)説明責任を押し付ける・押し付けられる→押し付けられた場合には、脇道に逸れている指摘。罠を張っておくなどの準備も有効。
7)一対多→親玉は相手にせず弱そうな部分から付け入って取り込む。
<ジェットコースター法(ストラテジックオフェンス法)>
☆一対多という状況下でも、一発逆転のチャンスは存在する場合もあるので上手くそれを見つけられるようにする。
ポイントは、皆がAであることを主張するなかBではないかと疑ってみること。
【全体を通じてその他気になったトピックと視点】
<ファジー論理>
真と偽、0と1というように区別するのではなく、「犬は忠実であるという命題のファジー論理値は0.7である」というように真偽の概念を拡張した体系。
0と1で問題が生じるのは確かだが、それ以上の問題点を多く含む。
<三段論法(シロジズム)>
三段とは、大前提・小前提・結論の3ステップを示す。
大前提小前提のステップにおいて1格から4格までの場合があり、結論は「すべての-は-である」、「すべての-は-でない」、「ある-は-である」、「ある-は-でない」の4通りがあるため組み合わせは膨大だが真であるのは19通り。
<AならばB>
必要十分条件については最終章でおまけ程度に扱っていたが、それ以前のクイズではかなり曖昧にしていた印象を受けた
<「京大」推し>
ネームバリューと強い言い切りによって信憑性・信頼性を高めて読者に「筆者について進んでいけば大丈夫だろう」と思わせるような書き方の工夫が随所に見られた。ハウツー本や自己啓発本の類においては無垢な読者を妄信的に導くことが出来るため有用であるだろう。
<「AまたはB」で「Aでない」ならば「Bである」>
状況は、100個の白の玉の中から1個引いてそれが金の玉であれば勝利。ただし相手の仕込みにより100個全てが白の玉になっている。→一個引いて見せずに食べてしまう。袋の残りの99個の玉を確認すれば白のはずだ、だから金を引いたと主張。
<実用的>
大観覧車法で顕著だが、「実用的」であろうとすればどうしても小手先のテクニックを取り上げることになる。確かに、筆者の述べるところの「古典論理学」を日常生活で目に見えるレベルで実践するのは大多数の人間にとって至難の業であるだろう。
この本を「論理学の本」とするのは些か疑問。
<メリーゴーランド法>
MECE、So what?/ Why so? といった考え方の基本を除けば手軽で実用的な方法だろう。日常生活の中で試してみたい。取り上げるべきテーマとしては、漠然としすぎず具体的な答えが出るものが良いだろう。
この先どう人生を生きていくべきかというテーマよりは、数年の目標や幸せの優先順位をつけるために今持っている「自分」のコンテンツを洗い出して見直すといった程度に留めるのが良いと考えられる。